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正しく恐れる。
更新日:2017/10/20
線材と鋼線。
いずれも鉄鋼商品ではあるのですが、平たく言うと材料と製品。
製鋼所から出荷された前者が、加工メーカーによって後者となる。
少々一般の人には伝わりにくいかも知れませんが、業界においては
全くの別物なのです。例を挙げると、線材・バーインコイルから
ワイヤーロープが作られるといった具合ですが…分かるかな?
後者には、厳しい寸法公差や機械的性質を求められますが、
前者にはそれがありません。あるのは、成分データぐらいのものです。
板材や形鋼であれば、そのままの姿でエンドユーザーが使用します。
けれど、線材の場合は加工に用いられることを前提としており、
必要とされるスペックは最終製品に姿を変えた状態で定められます。
当社では、バーインコイルで仕入れた素材をホーマーナットという
最終製品にしますので、機械的性質はナットで保証する…というもの。
そして、話は例の事件へとジャンプします。
データ改ざんは確かに問題です。褒められた話ではありません。
けれど過剰に反応するのも、これまた慎むべき行動と言えます。
ことの次第を理解した上で、正しく対応することが必要なのです。
少々不謹慎かも知れませんが、私は福島の原発事故を思い出しました。
マイクロシーベルトという、耳慣れない言葉に日本中が右往左往。
毎日のように観測データが報じられ、計測機器を持ったマスコミが
ホットスポットを見つけたと騒ぎ立てる。正直、ウンザリしてました。
何日か後、ある人の発した言葉にとても共感したのを覚えています。
それが、今回のブログのタイトルです。
世の中に100%の安全はありません。
けれど、100点満点でないと0点…でもないはずです。
安全なことと危険なこと、出来ていることと出来ていないこと、
良いことと悪いことなどを正しく評価することが大切だと考えます。
起きていることを的確にとらえるからこそ、必要な措置がとれる。
それが「正しく恐れる」ことだと思うのです。
元々は、
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、
正当にこわがることはなかなかむつかしい」
という言葉から生まれ出た表現で、本質を誤って伝えてしまうことも
懸念されていますが、この表現を全く知らないことの方が
私は大きなリスクだと考えています。
今後もことの次第によっては、当社の材料に影響が及ぶかも知れません。
正当にこわがることがむつかしいからこそ、
これからも適切な情報開示と、丁寧な説明に努めて参ります。